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2011年3月

2011年3月31日 (木)

中学校教科書検定結果が公開されました(新聞記事)

沖縄タイムス記事です

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-03-31_16068/

 【東京】文部科学省が30日公表した2012年度版の中学校社会科歴史の教科書で、沖縄戦に関連し 「集団自決(強制集団死)」を記述したものが全7社7冊と現行より2冊増え、そのうち「日本軍の関与」を明記した教科書も現行の1冊から4冊に増えた。し かし、06年度の高校歴史教科書検定で問題となった「日本軍の強制」を断定した教科書はなかった。

 一方、公民の教科書では米軍普天間飛行場移設問題を本文で初めて3社3冊が掲載。県内移設を明記した06年の日米合意を鳩山由紀夫前内閣が見直す姿勢を示したことや米軍基地の騒音、米兵犯罪に触れた教科書もあった。

 現行の04年度検定時には8社9冊の教科書が合格。うち「集団自決」の記載は5冊、「日本軍の関与」 は日本書籍新社の1冊だけだった。今回合格した7冊全てが「集団自決」を記載、説明しており、沖縄戦を伝える部分全体では文章の長さや写真の枚数が増える 傾向となっている。

 出版大手の東京書籍は現行版ではなかった「集団自決」を12年版に盛り込み、「日本軍によって追い込まれた」と明記。清水書院も「兵士や役人から配布された手りゅう弾を用いて…集団自決へと追い込まれていった人もおおぜいいた」と軍の関与を詳しく書いた。

 慶良間諸島の「集団自決」で日本軍の命令や関与に否定的な「新しい歴史教科書をつくる会」執筆の自由社版は、「沖縄戦の悲劇」と題したコラムで「追いつめられた住民が、家族ぐるみで集団自決する悲劇が起こりました」と触れたが、軍関与には触れていない。

教科書ネット事務局長の談話です

【談話】2010年度中学教科書の検定結果について

 2011330日  子どもと教科書全国ネット21事務局長・俵 義文

 

 文部科学省は、330日、2010年度の中学教科書と前倒しした高校数学・理科教科書の検定の一部を公開した。社会的に注目されている新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)が編集した自由社版歴史と公民教科書、日本教育再生機構及び改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会(「教科書改善の会」)が編集した育鵬社版歴史と公民教科書も検定に合格した。これらの教科書についての現時点での見解と10年度検定の問題について以下にコメントする。

 

一、育鵬社版・自由社版について

 育鵬社版・自由社版の検定申請図書(白表紙本)、修正表などの全体をまだ見ることができないので、検定合格した教科書について全面的なコメントはできないが、文科省が公開した資料などにもとづいて、現在わかる範囲での問題点を指摘する。なお、これらの教科書については、全体の内容がわかり次第に専門的な分析を行い、全面的に見解を明らかにするつもりである。

 

1.育鵬社版で新たに書き加えられた特徴的な点

(1)日清・日露戦争時において、ロシア脅威論をいっそう強調し、戦争と軍備増強、朝鮮侵略を正当化する論調が強まっている。それは、以下の記述から指摘できる。

「隣接する朝鮮がロシアなど欧米列強の勢力下に置かれれば、自国の安全がおびやかされるという危機感が強まりました。そして、まずは朝鮮を勢力下に置く清に対抗するため、軍事力の強化に努めました。」

(2)1920年代末から日中戦争にいたる過程において、全体として中国の抗日運動を敵視する姿勢を強め、日本の中国侵略を正当化する論調が強まっている。

そのなかで、済南事件(1928年に済南で日本軍と北伐軍が戦火を交えた事件)を新たにとりあげた。

また、「支那事変」の用語を新たに入れた。現行の自由社版にならったものである。

(3)アジア太平洋戦争中にアジア諸国が当時の日本の政権に協力した事例をことさらにくわしくとりあげ、アジア解放戦争という位置づけをいっそう強調しようとしている。

「アジア独立への希望」という小項目で、タイとの同盟、インド国民軍、ビルマ独立義勇軍、インドネシア義勇軍の事例を、その問題点についてのなんの注釈もなしに取り上げ、アジア解放の戦争ということがあたかも実像であるかのように描いている。また、大東亜会議参加国の名を写真のキャプションから本文に格上げしている。

(4)「昭和20年、戦局の悪化と終戦」という新しい「読み物コラム」をもうけ、沖縄戦、ひめゆり部隊、大田実少将の電文、特攻隊員の思い、作家の思い(大仏次郎、藤原てい、徳富蘇峰)をとりあげているが、戦争で苦しいなかでもみんなよく戦ったという心情を育てるものになっている。作家の言葉では、「護国の神」という言葉、戦争に負けた苦労、戦犯裁判批判などが語られ、戦争の真実の科学的理解、歴史の真実に根ざした反省にはつながらないものとなっている。

(5)日本国憲法の最大の特色を「他国に例を見ない」戦争放棄だと断定し、申請本では国民主権と基本的人権の尊重にまったくふれていなかった。検定でそれは日本国憲法の三大原則の構成部分として書き加えられたが、本文ではなく、注で書き加えたにすぎない。日本国憲法制定の歴史的意義を全く否定するものである。

 

2.自由社版で新たに書き加えられた特徴的な点

(1)韓国併合をいっそう美化する記述に変わった。

併合後の朝鮮について「学校も開設し、日本語教育とともにハングル文字を導入した教育を行った」という記述を加え、現行本にあった「これらの近代化事業によって、それまでの耕作地から追われた農民も少なくなく、また、その他にも朝鮮の伝統を無視したさまざまな同化政策を進めたので、朝鮮の人々は日本への反感をさらに強めた」という記述を削除した。検定でほぼ同文が復活したとはいえ、本文での復活ではなく、(注)に落としての復活にすぎない。

(2)日中戦争開始のところで、日本人保護のために派兵したことを付け加えた。上海での日本人将兵射殺事件の記述のあとに「中国軍が日本人居留区を包囲した。日本は日本人保護のため派兵した」を追加している。

日本の中国侵略という事実の全体像を無視し、そのなかのごく一部のみをことさらに強調して日本軍の派兵を正当化するものである。

(3)現行本のコラム「20世紀の戦争と全体主義の犠牲者」を「戦時国際法と戦争犯罪」というタイトルに変え、小項目「二つの全体主義の犠牲者」を削り、「沖縄戦の悲劇」を加えた。そのなかで集団自決にもふれたが、その原因や責任にはまったくふれていない。そこに戦艦大和の話を加え、さらに東京大空襲や原爆の記述をくわしくした。連合国の戦争犯罪が裁かれなかったことを指摘することは間違いではないが、そのことを一面的に強調することは、日本の戦争犯罪を免責することにつながりかねない。

(4)昭和天皇のコラムで昭和天皇賛美をいっそう明確にした。

タイトルを現行の「昭和天皇」から「昭和天皇国民とともに歩まれた生涯 立憲君主的な立場を貫きつつ、国民の安寧を祈り続けた、無私と献身の生涯とは」に変え、2ページ扱いとした。敗戦前の部分では、立憲君主の立場を貫いたことと、2.26事件と敗戦のときに自ら決断したことをくわしくした。

 

二、沖縄戦の記述について

 沖縄戦の記述については全体として改善されているようである。沖縄戦の開始時期について、自由社・育鵬社以外はすべて3月末と正しく記述していることや、「集団自決(強制集団死)」について、「日本軍によって集団自決に追いこまれた」「集団自決をせまられた」「集団で自決を強いられた」「集団死に追いこまれた」など、それが日本軍による「強制」によるものとしている(自由社・育鵬社は別)。さらに、日本軍による食糧強奪、壕追い出し、住民殺害に言及した教科書もある。

07年の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」検定問題に抗議する929県民大会を呼びかけた6団体で構成する「929県民大会決議を実現させる会」をはじめ大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会・沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会・大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会・子どもと教科書全国ネット21・日本出版労働組合連合会の5団体が連名で、中学社会科教科書発行者に対して、沖縄戦の記述改善について文書で要請してきたが、教科書発行者がこうした沖縄県民などの要請を一定反映させたもの評価できる。

 

三、今回の検定のいくつかの問題点

1.前回の2004年度検定に比べて検定意見の総数は2,12738.3%)多くなっている。教科・科目別にみると、意見数が目立って多くなっているのは、歴史・数学・理科などである。数学・理科は学習指導要領が大幅に変わったことが影響しているように思われる。歴史の意見数が多い原因は、自由社版・育鵬社版と修正表を出さなかった日本文教出版版に多くの検定意見がつけられているためである。

 全体の検定意見の87.6%は教科書調査官の調査意見書である。歴史の場合は、94.9%が調査意見書と同一である。09年度の小学校教科書検定と同様に、検定意見の大部分は教科書調査官によるものであり、検定は事実上、文科省の職員である教科書調査官が行っていることが、今回も実証されている。

2.育鵬社の前記(2)(3)、自由社の同(1)(2)のように、明らかに検定基準の近隣諸国条項を無視して検定を通していることがうかがえる。

3.「米軍による核兵器持ち込みについての疑惑は、その後も消えていません」という記述を「当時、米軍によって核兵器が持ち込まれていたのではないかという疑惑があり、それは現在も消えていません」と修正させた。核持ち込みの疑惑をあくまでも過去の問題だとして、現在は疑惑はまったくなくなっているかのように政府見解にそって書き直させたものである。

4.北方領土、竹島、尖閣諸島については、申請本の段階で固有の領土である旨を明確にした本が多いと思われるが、多少なりともあいまいにした場合は検定意見がつけられ、固有の領土であることを明確にすることや、ロシア、韓国が不法に占拠していることを書かせている。検定では領土問題は二つだとして、尖閣諸島については「領土問題は存在しない」という政府の立場が示されている。これでは領土問題の平和的解決への道筋はみえてこない。

5.核兵器の被害について「のちの世代の生命や健康にまで影響をおよぼす破壊兵器です」という記述を「被爆者の生命や健康に長く影響をおよぼす破壊兵器」と書き換えさせた。核兵器の被害の範囲について未だ確証されていない部分もあるとはいえ、ことさらに被害を過小に見せる検定である。

                                         以上。

中学校教科書検定結果が公開されました

昨晩のテレビ報道、今朝の新聞より中学校教科書の検定結果が報道されています。

その関係の情報を取り急ぎ出しておきます。

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【共同アピール】

歴史わい曲・侵略戦争肯定・憲法敵視、アジアの人々との共生を否定し、国際社会での孤立化の道に踏み出す「不適切な教科書」を子どもたちに渡してはならない

 2011年は中学教科書の採択が行われます。私たちは、今年の採択で自由社版歴史と公民教科書、育鵬社版歴史と公民教科書が子どもたちに渡されないよう、これらの教科書の採択に反対する活動を全国の皆さんに呼びかけます。

 

1. 文部科学省は330日、2012年度用中学教科書に対する10年度検定の一部公開を行いました。検定に合格した教科書は、4月末~5月初めに見本本が作製され、8月末までに全国各地で採択が行われます。

 この中学教科書は、0612月に安倍政権によって改悪された06年教育基本法に基づいて、083月に文科省が改訂告示した新学習指導要領(指導要領)に準拠して編集されたはじめての教科書です。06年教育基本法は、国家のための教育を基本理念とし、教育の目標として、道徳心・愛国心・奉仕の精神・公共の精神・伝統文化など20もの徳目を、国家が法律で定めて子どもに押しつけようとするものです。新指導要領はそれを具体化したものであり、文科省は、指導要領改訂と同時に検定制度を改悪し、教科に関係なく、道徳や愛国心などをすべての教科書に盛り込むことを強制しています。新中学教科書は、こうした検定によってつくられたものです。

 

2. 新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)は、2006年に内部抗争で「分裂」し、これまで「つくる会」教科書を発行していた扶桑社から次の教科書の出版を拒否されたために、自由社から中学歴史と公民の教科書を発行します。「分裂」した一方の八木秀次グループは、日本教育再生機構(「再生機構」)及び改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会(「教科書改善の会」)を結成し、扶桑社の100%出資の子会社・育鵬社から中学歴史と公民教科書を発行します。

 このため、今年度の採択では、歴史わい曲・憲法敵視の教科書が歴史・公民共に自由社版・育鵬社版の2種類が登場することになります。

 現在の検定は密室で行われ、文科省が教科書出版社に対して、検定申請図書(白表紙本)や検定情報の管理を厳格に行うよう指導しているために、検定公開後でなければ、自由社版・育鵬社版の新教科書の内容は正確にはわかりません。しかし、現行版や「つくる会」の会報『史』や「再生機構」の機関誌『教育再生』、「再生機構」が作成したDVD『教科書も「仕分け」しよう!』などで彼らが主張していることから、彼らの新教科書の内容を推測することができます。

 

3. 「つくる会」・「再生機構」=「教科書改善の会」は、自分たちの教科書は06年教育基本法と指導要領を最もよく反映した教科書だと主張しているので、予想される内容は、愛国心・道徳心・奉仕の精神・伝統文化・「我が国の歴史対する愛情」などをふんだんに盛り込んだ教科書だということです。その点では、現行版と大差はないと推測されます。

彼らは、扶桑社・自由社以外の教科書には、「有害添加物=毒」が盛り込まれていると他社の教科書を誹謗・攻撃しています。彼らのいう「毒」とは、「反戦平和や護憲、核廃絶、アイヌや在日外国人への差別撤廃、環境保護」などで、これらは「特定の政治勢力の見解に加担する」ものであり、偏った教科書、「毒入り教科書」だと主張しています。しかし、これらの内容は憲法や国際社会の常識であり、人類にとって21世紀の重要な課題になっているものであり、中学生が学ぶべき大切な内容です。

彼らの教科書は、こうした「当たり前」で大切な内容を取り上げない教科書だということです。

さらに彼らは、敗戦前までの国定教科書と同様に、神話上の人物で実在しない神武天皇を初代天皇と教科書に書けと主張しています。彼らの教科書は、現行版と同様に、天皇と支配者中心の歴史を描いているということです。また、戦前・戦中に子どもたちを軍国少年・少女に育て上げ、天皇のために喜んで戦争に行き死ぬことを最高の道徳だと教え込み、国民を戦争に駆り立てた教育勅語を礼賛しています。戦前の「修身」「国史」教科書の復活をねらうかのようです。

彼らは、韓国併合=植民地支配は日本の誇りであり謝罪する必要はない、韓国は感謝すべきであり、非難・抗議するのはとんでもない、と主張しています。彼らは、南京大虐殺事件や日本軍「慰安婦」の歴史事実を否定し、沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」が日本軍の強制によることや住民殺害の事実を否定しています。自由社版も育鵬社版も、歴史をわい曲し、侵略戦争と植民地支配を肯定・正当化する内容は現行版と変わりがないということがうかがえます。

彼らは、国際関係は軍事力・経済力で競争する場、紛争は理性的な話し合いでは解決しない、軍事力・戦争で解決するのが当然だと強調しています。20世紀後半以降、戦争を違法化することが国際社会の最大の課題になり、とりわけ冷戦崩壊後の国際社会は紛争を武力ではなく話し合いで解決する方向に大きく転換しています。日本国憲法第9条は、今後の国際関係のルール「世界の宝」として、ますます重要性を増しています。彼らの教科書は、現行版同様に、憲法を敵視し、子どもたちを「戦争する国」を支える人間に育てる内容になっていると推測されます。

彼らは、ジェンダー平等教育や男女共同参画、夫婦別姓は家族を崩壊させ、日本国家を解体すると主張し、外国人地方参政権などにも反対しています。彼らの教科書には、こうした問題は取り上げていないか、あるいは彼らの主張に沿って書いていると思われます。

彼らは、竹島/独島や尖閣諸島問題について、「竹島/独島を韓国が不当に占拠している」「中国が尖閣諸島を取りに来ている」など意図的に問題にし、反中国・反韓国キャンペーンを展開しています。これは、偏狭な領土ナショナリズムを煽り、それによって自分たちの教科書の採択に有利な状況をつくろうという意図によるものです。彼らの教科書は、領土問題について、いたずらに紛争を煽り、隣国との友好関係に亀裂をいれるような内容になっていると思われます。北方領土を含めて、これらの領土問題は政府でも解決できていない問題であり、冷静な平和的な対話によってのみ解決の方向が見いだせるものです。中学生に敵愾心をもたせるような内容は、近隣諸国との友好や平和構築にとって百害あって一利なしといえるものです。

現行の自由社版・扶桑社版は多くの間違いや不適切な内容がほとんど訂正されないままになっています。そのために、この教科書を使わされている中学生、教員、保護者などは大きな被害を受けています。これまでの「実績」から見て、新しい自由社版・育鵬社版教科書も、多くの間違いがあるのではないかと推測されます。

自由社版・育鵬社版は、アジア近隣諸国を蔑視し、日本の侵略戦争・植民地支配を正当化し、戦争を美化・肯定して自衛隊の海外派兵推進をする、憲法を敵視し、男女平等を否定し、改憲を主張する教科書だといえます。間違った歴史や憲法観を子どもたちに刷り込み「戦争をする国」の国民づくりをめざす教科書です。

国連・子どもの権利委員会は、2010615日、日本政府に対する「最終報告」を発表しました。この中で、「日本の歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、地域の他国の児童との相互理解を強化していないとの情報を懸念する」「公的に検定されている教科書が、アジア太平洋地域の歴史的事件に関して、バランスの取れた視点を反映することを確保するよう勧告する」としています。この「懸念」や「勧告」は明らかに「つくる会」教科書に対してのものです。

日本国憲法は日本が再び侵略戦争をしないという国際的宣言・国際公約です。教科書検定基準の近隣諸国条項は、日本のアジア侵略戦争・植民地支配・加害などの歴史的事実を教科書に正しく記述することをアジア諸国および人びとと日本国民に約束したものです。さらに、日本政府は、1993年の河野洋平官房長官談話、95年の村山富一首相談話、98年の日韓共同宣言、日中共同宣言、2002年の日朝ピョンヤン宣言、2010年の菅直人首相談話などで、侵略・加害、植民地支配の事実を認め、歴史教育でこうした事実を学び記憶して、二度と同じ過ちを繰り返さないことを国の内外に約束しています。自由社版・育鵬社版はこうしたものを正しく反映していません。

自国中心主義でアジア諸国、アジアの人々を蔑視・敵視する自由社版・育鵬社版教科書で学べば、アジアの人々・諸国との共生、平和な共同体をめざす国際社会にふさわしい子どもは育ちません。

 

4. 「つくる会」・「再生機構」=「教科書改善の会」・日本会議などは、自由社版・育鵬社版教科書を採択させるための活動を展開しています。彼らの採択方針は、神奈川県横浜市や東京都杉並区などで「成功」したやり方を全国に拡大するものです。それは、彼らの教科書と運動を支持する首長に取り入り、その首長が任命した教育委員の過半数を獲得して、教育委員の(無記名)投票によって採択を獲得するというやり方です。

 自民党は彼らの教科書採択のために、「各地方議会での活動が死活的に重要」として、全力をあげて支援するように、都道府県連に指示を出しました。自民党の日本の前途と歴史教育を考える議員の会(「教科書議連」)も教科書採択活動をバックアップするために活動を再開しています。

 日本会議は全国に130以上の支部を設立し、日本会議地方議員連盟に参加する地方議員は400名以上いるといわれています。これらの支部や日本会議地方議員連盟所属の議員が、自由社版・育鵬社版教科書の採択のために活動しています。

彼らは、採択活動を有利に展開する「環境づくり」のために、いま、各地の地方議会に対して、「教育基本法や学習指導要領の改正の趣旨に最もふさわしい教科書の採択」を求める請願(陳情)を行っています。教育委員会は一般行政から独立した教育行政機関であり、その教育委員会が行う教科書採択は教育内容に関わるものなので、議会が多数で決議して特定の教科書の採択を要求するのは議会による教育行政への介入であり、教育基本法第16条が禁じる「不当な支配」にあたり、議会がやってはならないことです。しかし、この請願は、すでに、いくつかの府県議会や市議会で採択されています。

 

5. 今年は、このような教科書をゼロ採択に追い込み、1996年から15年も続いている「つくる会」などの第3次教科書攻撃、歴史わい曲・改憲の政治運動に終止符を打つ年にする必要があります。そのためには、①自由社版・扶桑社版が採択されている地域・学校で採択をやめさせる、②新たな地域・学校で自由社版も育鵬社版も採択させない、という取り組みを全国各地で展開することが求められています。

教科書採択は、採択地区ごとに行われるので、それぞれの地域でこれらの教科書を採択させない取り組みが必要です。この活動は、地域の草の根の平和と民主主義を実現する取り組みでもあります。全国各地で、「自由社版も育鵬社版もNO!」の世論が高まることが、決定的に重要であり、それぞれの地域で学習会などを開催し、宣伝活動を行い、教育委員会などに要請する取り組みを進めることが急務になっています。

 「つくる会」が結成されてから14年間で、教育も教科書も重大な改悪が行われてきました。日本軍「慰安婦」の記述は中学教科書からほとんど消され、日本の侵略・加害、植民地支配や沖縄戦、戦後補償の記述も後退してきました。2007年の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」検定問題も「つくる会」などの運動によって起きたものです。

 私たちは、各地の教育委員会が、日本国憲法や近隣諸国条項、日韓・日中・日朝共同宣言、官房長官談話や首相談話の趣旨を正しく反映しない教科書を採択しないよう強く要請します。

 私たちは、今年こそ自由社版・育鵬社版教科書をゼロ採択に終わらせ、「つくる会」などによる教科書攻撃、教育破壊の政治運動に終止符をうち、憲法・47年教育基本法・子どもの権利条約の精神を活かした、真に子どものための教育の実現をめざす年にしましょう。2011年はその意味でも大きなチャンスの年になるように、全国の皆さんが地域から活動を展開するよう呼びかけるものです。

 

2011330

アジア女性資料センター/「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク/一般財団法人歴史科学協議会/大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会/沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会/沖縄平和ネットワーク/沖縄平和ネットワーク首都圏の会/大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会/女たちの戦争と平和資料/「学校に自由の風を!」ネットワーク/教科書・市民フォーラム/憲法を生かす会/憲法・1947年教育基本法を生かす全国ネットワーク/子どもと教科書全国ネット21/子どもの権利・教育・文化全国センター/「子どもはお国のためにあるんじゃない!」市民連絡会/相模原の教育を考える市民の会/ジェンダー平等社会をめざすネットワーク/社会科教科書懇談会/自由社版歴史教科書使用の横浜市8区市民連絡会/自由法曹団/杉並の教育を考えるみんなの会/「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク/「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク/中学歴史教科書に「慰安婦」記述の復活を求める市民連絡会/男女平等をすすめる教育全国ネットワーク/中国人戦争被害者の要求を支える会/地理教育研究会/東京歴史科学研究会/南京事件・沖縄問題合同研究会/南京への道・史実を守る会/日中韓3国共通歴史教材委員会/日本出版労働組合連合会/日本の戦争責任資料センター/ひらかれた歴史教育の会/ピースボート/許すな!憲法改悪・市民連絡会/横浜教科書採択連絡会/歴史教育者協議会/「歴史認識と東アジアの平和」フォーラム日本実行委員会

(以上日本側40団体、2011329日現在)

韓国・アジアの平和と歴史教育連帯

 

問合せ・連絡先:子どもと教科書全国ネット21

千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201

℡:03-3265-7606 Fax03-3239-8590

2011年3月25日 (金)

教材をアップします(やってみよう米軍基地クイズ)

歴史と実践30号で、出された原稿をPDF形式でアップします。
ぜひ学校現場や研修で活用していただければ幸いです。
まずアップするのは
「やってみよう米軍基地クイズ」です。筆者は山口剛史です。
以下をクリックしてダウンロードしてください。

「beigunkichi10mon_print.pdf」をダウンロード

ファイルサイズの問題もありますが、随時アップできたらと思います。


2011年3月24日 (木)

企画情報です

326() 午後6時半開場 教育福祉会館(那覇市古島駅徒歩5分 マリエールオークパイン裏 興南高校隣り)
参加費:資料代・映画鑑賞代・飲み物付き1,000
是非ご参加下さい。
二人のパネリストが沖縄の米軍基地の現状とこれから、沖縄から行った海兵隊のアフガン・イラクでの現状を報告します
是非、ご参加下さい。

以下チラシより
沖縄は米軍基地を押しつけられていると同時に、その基地から飛びたつ爆撃機が
アフガン、イラクでその国の人々を殺している。この二重の過ちをひとつながりに
読みとくことにこそ、グローバル時代に「沖縄」が発しうる「ウチナーメッセージ」
と「オキナワンリベリオン(抵抗)」の源泉がある。
「怒」でとどまるわけにはいかない。
パネリスト 伊波洋一氏 1952 年生まれ 59 歳。
県議会議員、宜野湾市長を、ともに二期務めあげた。次回知事選に向け充電中。
現在は基地問題を中心にとりあげ、全国で講演会を行っている。
パネリスト 西谷文和 1960 年生まれ 50 歳。
大阪市立大学を卒業し、1985 年から吹田市役所に勤務。
04
年末に退職し、現在フリージャーナリストで「イラクの子どもを救う会」代表。
ここ数年、報道ステーションなどで最新のアフガン・イラク報告。
昨年暮れには子どもたちの笑顔のために「国境なき芸能団」を組織し中東に向かった。

コーディネーター 輿石正
『未決・沖縄戦』、『辺野古不合意』、『悼画・金城祐治さん』などのドキュメント制作の商人
シンポジウム進行内容 : 西谷文和作品『GOBAKU』上映(30 )/ シンポジウム(1
時間)/ フロアー討論(1 時間)
協賛団体 : 沖縄平和市民連絡会|沖縄戦記録フィルム1 フィート運動の会|ヘリ基地反対協議会|沖縄高生研|大阪高生研|おまかせHR 研究会

3月28日(月)には西谷氏とおまかせホームルーム研究会による、生徒教師向けの学習会が北部農林高校で開催されます。
参加・取材希望の方はこのメールへの返信でお問い合わせ下さい。

2011年3月17日 (木)

各種声明関係その3~石原知事「天罰発言に関して」

撤回はしていますが、抗議声明をここにはっておきたいと思います。
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石原慎太郎の「震災は天罰」発言に抗議する

 

敢えて一切の敬称を省略する。

石原慎太郎は、東北太平洋沖大震災・津波の被災者に謝罪し、即刻すべての政治活動から身を退くべきである。
 複数メディアの報ずるところによれば、石原は大震災の被害を「これはやっぱり天罰だと思う」と記者会見の場で広言した。

「津波で我欲を洗い落とせ」とも言ったという。
 その後記者から「『天罰』は不謹慎では」との質問に対して、「被災した方には非常に耳障りな言葉に聞こえるかもしれませんが、

と言葉を添えている」として、発言の撤回も謝罪もしていない。しかも実際には、添えられたとされる言葉はなかったという。

 

 かつてない大災害で万を数えようという犠牲者が出ている。多くの罹災者が家族を失い、家も職も地域社会をも失って塗炭の

苦しみに嗚咽の声をあげている。そのときに、石原はこの苦しみを「天罰」と言ってのけたのだ。
 言うまでもなく、罰は罪を犯したものに対してくだされる。罹災者に何の罪があったというのか。

「津波で我欲を洗い落とせ」とは何という無神経で、心ない言葉。不用意に出た言葉としても、何という思いやりに欠けた、

唾棄すべき人格であろうか。石原にとっては、この大災害の罹災者一人一人の死や離別、恐怖は、

「被災者の方々はかわいそうですよ」という程度のものでしかない。

 

 明らかに、石原はこの発言で政治家たるの資質のないことを露わにした。

少なくとも、民主主義社会において、これほど人権感覚を欠如し、これほどに国民を見下した政治家に、

責任ある地位を与えておくことはできない。
 発言を撤回し謝罪するだけではたりない。政治家失格者としてあらゆる政治活動から身を退くよう、要求する。
                               
     弁護士 澤藤統一郎

 

 

東京都のホームページ「知事への提言 >都民の皆さまからの都政に対する建設的な提言・意見」に投稿しました。
URL
は下記のとおりです。
https://cgi.metro.tokyo.jp/cgibin/cgi-bin/fmail_input_disp.cgi?dep_id=ts02&scr_id=f001&lang_opt=00

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澤藤です。

 

石原は1日で「天罰発言」を撤回しました。
マスコミや宮城県知事の不快発言もありますが、「都民からの抗議」も多数だっ
たからとされています。しつこくやりましょう。再度、以下の一文を都の窓口にメールしました。

 

 石原慎太郎君、君こそ「天罰」を甘受したまえ。
                    弁護士 澤藤統一郎
 敢えて敬称を「君」としよう。
 石原慎太郎君、知事を辞めたまえ。四選出馬を撤回したまえ。潔く、大震災・
津波の被災者にたいする謝罪広告を掲出し、すべての政治活動から即刻に身を退
きたまえ。
 君は、大震災の被害を天罰だと記者会見の場で広言した。塗炭の苦しみを味わっ
ている被災者を罪ある者とし、その苦しみを天罰と言ったのだ。被災者を我欲者
として「津波で我欲を洗い落とせ」とも言った。その君の罪は限りなく重い。
 君の「天罰発言」は、失言だとか、不用意に口が滑ったという次元の問題では
ない。君の人格そのものの表出なのだ。権力者面をした君には、この大災害の被
災者一人一人の死や離別の恐怖・苦悶・悲嘆に共感する能力が根本的に欠落して
いる。このことは、民主主義社会での政治家として決定的な欠陥なのだ。
 君は、いとも簡単に「言葉が足りなかった」として、「謝罪し、発言を撤回し
た」と報じられている。君は、自分の言葉の軽さを当然として、その撤回は可能
と考えているようだが、それは心得違いも甚だしい。
 君の「天罰発言」は、政治家としての君の資質の欠落を露呈させたものだ。だ
から、政治家失格の真実を消し去ることはできない。発言を撤回したところで、
君の人権感覚の欠如、国民無視の姿勢の露呈を消し去ることはできない。
 君が都知事を続けたら、不幸な都民に再度「天罰」と言うだろう。いや、既に
これまでも「天罰」として切り捨てられている都民を指摘することもできる。
 このたびは、謂わば君自身が君の原罪を露わにしたのだ。天罰を甘受するより
ないではないか。天罰発言を撤回して、謝罪するだけでなく、知事も辞めたまえ、
四選出馬を撤回したまえ、あらゆる政治活動から身を退きたまえ。それが、民主
主義と人権の進展のために、君がなし得る唯一のことなのだから。

各種声明関係その2~韓国の市民団体からの声明です

日本大地震災害に対する韓国市民団体の声明
今回の日本の東北地域で発生した地震と津波により、想像を超える被害と苦痛を味
わっている方々や被害者の方々に深い哀悼の気持を送ります。加えて、原子炉の爆発
による放射能被害と、今なお続く各種災難や悲報に驚愕と悲しみを禁じることができ
ません。一刻も早くこの災難が収拾されることを心から願っています。

今回の東北地域の災害によって、日本の市民だけでなく少なくない数の在日同胞と外
国人も被害を受ける、もしくは今だに生死さえも確認できていない状態だと聞いてい
ます。宮城県に居住する日本軍「慰安婦」被害者宋神道(ソン・シンド)さんもまた
連絡が取れないということで大変心配しています。

国境と民族を超え、この惨事を東アジアの痛みとしてすべての人々が立ち上がらなけ
ればならない時です。日韓過去問題と関連した韓国の市民団体もまた、日本のすべて
の人々がこのとてつもない惨事を乗り越えていけるよう、できる限りの努力を行うつ
もりです。日本市民と在日同胞を含めた外国人のすべての安全のため、最善の努力と
協力を行うことを韓国政府当局にも要請します。

再度深い哀悼の気持ちを伝えながら、口にするのも辛い悲しみと衝撃を乗り越えて、
再び立ち上がることができるよう祈っています。そのために、韓国の市民団体も積極
的な協力を惜しまないことを約束します。
 2011315

KIN(
地球村同胞連帯)/ウトロ国際対策会議/サハリン希望キャンペーン団/丹波マ
ンガン記念館債権韓国実行委員会/()韓国原爆被害者協会/原爆被害者および原爆
2
世問題解決のための共同対策委員会/アジア平和歴史教育連帯/全国歴史教師の会
/歴史問題研究所/アヒムナ運動本部/韓国挺身隊問題対策協議会/韓国挺身隊研究
所/ナヌムの家/挺身隊ハルモニとともに行動する市民の会/世界NGO歴史フォーラ
ム/太平洋戦争被害者補償推進協議会/大韓民国臨時政府史跡地研究会/独島守護隊
/南北経協運動本部/日本NPO法人 ASIA PEACE BUILDERS/興士団/平和統一市民連
帯/平和博物館/民族問題研究所/靖国反対共同行動韓国委員会/林鐘国先生記念事
業会/正しい賢民族史運動本鵜/東アジア葛藤解決国際連帯/東学民族統一会/民主
社会のための弁護士の会 過去事情清算委員会/コリアグローブ(Korea Globe)/
年白凡/1923関東韓日在日市民連帯

各種声明関係~日本科学者会議

東北地方太平洋沖地震を契機とする福島原発の炉心損傷事故について


 20113111446分ごろ発生したM9.0の巨大地震(平成23年東北地方太
平洋沖地震)を契機に東京電力福島第一原子力発電所及び第二原子力発電所で
冷却材喪失事故が起こり、事態は現在なお進行中である。これまでの情報によ
ると、第二発電所で運転中であった、124号機はほぼ冷温停止に向かいつ
つあるが、第一発電所で運転中の123号機はいずれも停止の際の原子炉冷
却に失敗した。1号機では1313時ごろ、3号機では1411時ごろ水素爆発が発
生し原子炉建屋の一部が破壊された。また2号機では156時ごろ圧力抑制プー
ル(サプレッション・チェンバー)付近で爆発があり格納容器の一部が破壊さ
れた可能性がある。こうした爆発などに伴い、周辺のモニタリングポストで数
ミリシーベルト毎時の放射線量率が検出されている。政府は、こうした状況な
どを受けて、12日に第一発電所の半径20km圏内、第二発電所の半径10km圏内の
住民に避難の指示を出した。14日には定期点検のため停止中であった4号機で
火災、爆発があり、モニタリングポストも最高400ミリシーベルト毎時という
きわめて高い値を検出した。15日には新たに第一発電所の半径20km~30km
圏内の住民に対する屋内退避の指示も出されている。

 今回の事故は、いずれも地震動により制御棒は挿入され、核分裂反応は停止
したが、核分裂反応停止後の発熱(崩壊熱)の除去を行う冷却系が機能しな
かったため、炉心の温度が上昇し、燃料被覆管と水が反応して水素を発生する
などの経過をたどる、典型的な冷却材喪失事故である。地震による外部電源喪
失、冷却機能喪失などの事故の可能性は1990年に米国核規制委員会(NRC)が
確率論的リスク評価の手法を用いて、発生確率が高いと警告していたシナリオ
NUREG-1150)に極めて近い形で進行している。また、1979年に発生したス
リーマイル島原発事故は、地震が契機ではなかったものの軽水炉の典型的な冷
却材喪失による重大事故(シビアアクシデント)であり、今回の事故は水素爆
発の発生など、大変よく似た経過をたどっている。

 今回の事故はM9.0という世界最大規模の地震の直撃という不運はあったもの
の、東京電力がこれまでの事故の教訓や警告を真剣に受け止めていれば、事態
はより軽い経過をたどったものと考えられる。その意味で東京電力の責任は重
い。

 日本科学者会議エネルギー・原子力問題研究委員会はこれまでも地震と原発
の危険性については繰り返し指摘・警告してきたが、電力各社や政府・規制当
局は耳を傾けようとしなかった。現在事故が進行中なので、原子力政策や事故
対応などの評価はおくとして、以下に、当面必要なことを述べる。

(1)
事故情報の公表について;東京電力の事故情報の公表の遅滞については各
方面からの批判が集中しており、政府はこのため同社との共同対策本部を立ち
上げたとされる。同社の隠蔽体質は依然改められていない。生データは速やか
に公表し、その評価は専門家にゆだねるべきである。

(2)
上述したように過去における最大の冷却材喪失事故であるスリーマイル島
原発事故の教訓を、これからの事故処理に生かすべきである。

(3)
避難に関しても、推定されるリスク(被曝リスク)と避難によるディメ
リットとを明らかにして、そのバランスに立った上での説得力のある指示を出
すべきである。

(4)
事故解決の基本的方針を明らかにして、国民の協力を仰ぐべきである。

(5)
当然、事故が収束した後の原子力発電の在り方が問題になる。我々はこれ
までの原子力政策、企業の体質、原子力行政にあり方などに対して、改めて問
題提起を行うが、「最低限、地震の発生が予想される立地サイトでの原発の即
時廃止、老朽化原発の即時廃止を行うべき」であると考える。「のど元過ぎれ
ば暑さを忘れる」というこれまでの原子力政策の愚を繰り返してはならない。
その上で地震国日本での原子力利用について根源的な議論がなされるべきであ
る。


2011
316

日本科学者会議エネルギー・原子力問題研究委員会

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日本科学者会議緊急アピール


 311日に東日本を襲った巨大地震と大津波によって、1万数千人とも推定さ
れる多くの住民が、尊い命を奪われたり、行方不明となっています。犠牲とな
られた方々に日本科学者会議として心より哀悼の意を表し、被災者の皆さんに
心よりお見舞い申し上げます。多数の行方不明者の中から一人でも多くの方々
が一刻も早く救出されることを、切に願っています。

 被災地では45万人に達する人々が避難を余儀なくされ、それぞれに孤立した
状況下で水、食料、暖房用の毛布・ストーブ等の欠乏・不足に苦しんでいま
す。被災者を救済しようという声が、いま日本中で急速に広がりつつありま
す。日本科学者会議としても組織をあげて災害実態の把握とそれを活かした救
援活動に取り組む所存です。しかし、寒空の下で、水、医療資材、食料、燃
料、衣類・防寒具など被災者の生存に最低限度必要な物資が決定的に不足して
います。また、被災地では、停電が続く中で情報の収集発信がままならず、孤
立した状態におかれています。国や地方自治体と民間企業等の総力を傾注し
て、急速かつ抜本的な救援態勢を構築する必要があります。例えば、現地に支
社や店舗を持つ大企業の協力、日本海側航路や秋田県・山形県・青森県などで
被害の軽微だった地域のインフラや陸送業者の活用など、可能なのに未着手の
ことがあります。日本政府の態勢はこの点で極めて不十分であり、緊急の対応
を求めます。

 また何より、東京電力福島第一原子力発電所において、複数の原子炉が同時
に、日本で過去に起こったことのない、極めて重大な放射能漏れを発生させて
います。政府や事業者の極めて不十分な発表によっても、放射線防護に関わる
炉の中枢部分の機能喪失さえも懸念される事態となっています。

 日本政府と事業者は、今起こっている事態をすみやかに明らかにし、最悪の
事態への進行を防ぐために何ができ、何をなすべきかを、全国・世界の英知を
結集して検討し、実行していく責任があります。そして、住民に対して、事態
の全容を分かりやすく説明し、今ある危険と今後事態が悪化する場合に取るべ
き対応について、十分な情報の提供と平易な説明を行う必要があります。

 現状では、断片的な現場の情報と、避難・室内待避の指示が出されるだけで
あり、冷静な対処を首相が求めても、むしろ住民の不安は極限に達していると
言えます。十分な情報提供と、事態や取るべき対応についての科学的かつ平明
な説明こそが、パニックを防ぎ、デマ情報を無力化し、国民の冷静な行動と協
力を可能にします。それは、世界の日本への信頼を取り戻す道でもあります。
日本政府と事業者に対し、広報体制の抜本的な見直しを緊急に求めます。ま
た、私たちを含む全国・世界の多様な分野の科学者に、協力を求める態勢をつ
くるべきであることを指摘するものです。

 さらに、今回の大震災・大津波の被災状況の深刻さからみて、被災者の皆さ
んの生活の再建と安定化ならびに被災地の復興・再建には、日本政府による県
や市町村などの地方自治体への全面的な復興支援が不可欠です。その際、阪神
淡路大震災からの復興過程で多くの社会的弱者が取り残された経験から学ん
で、地域住民の生命と暮らしを最優先にした復興計画を策定することを、日本
政府ならびに各地方自治体に強く要望するものです。

 創設以来国民の生活向上のために科学を発展させることをめざしてきた日本
科学者会議は、困難な中でも、まずは住民の生存と健康のため、さらには希望
住民本位の復興計画の策定に向け、広範な専門領域の会員の英知を結集するも
のです。また、会員・非会員を問わず、全ての科学者と研究機関に対し、救援
に可能な全力を傾注することを訴えます。


2011
315日             日本科学者会議


大震災の被災者のみなさまに心よりお見舞い申し上げます

大震災からやがて1週間がたとうとしています。
みなさまに心からお見舞い申し上げますとともに、現地でさまざまな支援活動を行っているみなさまに敬意を表します。
沖縄でも義援金やいろいろなとりくみがはじまっております。できる限りの支援をしていきたいと思います。
しかし、原子力発電所の問題は政府の対応、東京電力の対応に疑問を頂かざるを得ません。人命を第一にきちんとした説明と対応をしていただきたいと願うばかりです。

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